亡くなった夫は、姪が大学を出て就職する際に頼まれて身元保証人となっていますが、何か影響はありますか?

身元保証人としての責任は、相続の対象とはなりません。

就職に際し、勤務先から身元保証人を求められることがあります。身元保証人とは、従業員が勤務先に損害を与えた場合に、その賠償責任を保証する者です。

保証債務も債務の一つである以上、相続の対象となるのが原則ですが【参考:亡くなった父がアパートを借りる際の連帯保証人に!】、身元保証人としての責任は、相続の対象とはなりません。

通常の保証契約と違い、身元保証では、保証する親族らが、今後長い期間にわたって就業するに際し、勤務先に対してどのような損害を生じさせ得るのかまったく予測できない状況の下、「親族らの就職に必要ならば応援してあげよう」との思いで身元保証人を引き受けるケースがほとんどでしょう。つまり、保証の対象となる責任が不明確なまま、身元保証人を引き受けているのです。

このように、特別な信頼関係に基づく特殊な保証契約と位置付けられる身元保 証人の地位は、被相続人だけに属する地位(一身専属権)と考えられており、相続人には承継されないのが原則となります。

一身専属権に含まれるものとしては、身元保証のほかにも、親子等の身分関係の 確認を求める地位、特殊な営業の許可、扶養を求める権利、組合員間の契約に基づく権利、生活保護を受給する権利、労働契約上の地位などがあげられます。

なお、身元保証契約に基づき、身元保証人の相続開始時にすでに発生していた損害賠償債務は、現実化した金銭債務として相続の対象となりますので、ご注意ください。