亡父が生前に農地を購入していましたが、名義変更が済んでいません。どうしたらよいのでしょうか?

農地を取得するには、原則として農地法に定められた許可を得る必要があります。

農地を取得する場合の許可について、農地法は、農地を農地として利用するために取得する場合と、農地を農地以外(宅地等)に転用して利用するために取得する場合のふたつを定めています。いずれも、許可を得ようとする農地の所在地を管轄する農業委員会の所管となります。

お父様が生前に農地法の許可を得ているのであれば、売買を原因に亡くなられたお父様へ名義変更登記をすることができますので、その後に相続を原因として相続人のどなたかに名義変更登記をすればよいでしょう。なお、相続を原因として農地を取得する場合には農地法の許可は不要ですので、どなたでも農地を相続することができます。

しかし、お父様が生前に農地法の許可を得ていない場合も考えられます。農地の場合「将来、許可を得ること」を条件とする条件付き売買契約を締結することも、実務上は少なくないのです。

この場合、まずは農地法の許可を得ることができるかどうかを検討する必要があります。該当の農地が市街化区域内に存在するのであれば、手続きは容易に進められますが、市街化調整区域内の農地の場合、許可を得るための要件は細かく規定されており、簡単ではありません。

仮に、お父様が「条件付所有権移転仮登記」を経ていれば(登記事項証明書で確認できます)、相続を原因として仮登記の名義変更登記をすることはできますが、所有権自体を取得できるわけではありません。

このような場合も、お父様が該当の農地を取得してから20年以上経過している場合、管理の仕方によっては「時効」により所有権を取得できる余地がありますので、専門家にご相談なさることをお勧めします。