祖父の相続手続きを進めていたところ、昭和15年に登記された個人名義の抵当権の存在が判明しました・・・
何らかの方法で抹消登記を申請しなければなりません。
お尋ねのように、古い時代の抵当権の登記や所有権の仮登記などが抹消されることなく現在も残ってしまっていることは、しばしばあります。このような登記は抹消登記の申請をしなければ消えませんので、何らかの方法で抹消登記を申請しなければなりません。
ここでは、お尋ねのような抵当権の抹消方法を考えてみますが、その前提として、抵当権が本当に効力を失っているのか確認しましょう。
抵当権は、何らかの債務が履行されない場合に、抵当権を登記した不動産を強制的に売却して、その売却代金から弁済してもらうことを目的として設定されるものです。したがって、抵当権を抹消するためには、抵当権で担保された債務が消滅している必要があります。お尋ねのケースでは、債務が実際に弁済されたのかどうかは分かりませんが、少なくとも10年が経過して時効期間が満了しているものと思われますので、既に債務が消滅していると考えてよさそうです。
そこで、抵当権の名義人を探し出して抵当権抹消登記に協力してもらうことになりますが、昭和一五年に登記された抵当権ですので、名義人は既に亡くなっていることでしょう。そうすると、名義人の相続人を探し出して、抹消登記手続きに協力してもらわなければなりません。
なお、もしも抵当権の登記名義人やその相続人を探し出すことができない場合には、簡易な方法として、債務額全額を供託したうえで抵当権を抹消する方法も用意されています。
今回は個人名義の抵当権ということですが、法人名義の抵当権が残っているということもしばしばあります。いずれにしても、専門的知識を必要とする手続きですので司法書士にご依頼されることをお勧めいたします。