父の相続に関し、弟から「自分は何もいらないからお任せする」と言われました。他の兄弟との協議はまだなのですが・・・

一部の相続人との間では話し合いが済むこともあります。

遺産分割協議は相続権のある方が全員で合意しないと成立しませんが、ご質問のように「私は何もいらない」というケースや、「現金で○万円もらえればそれ以 上はいらない」などのケースのように、一部の相続人との間では話し合いが済むことはよくあります。

このような場合に、他の相続人との遺産分割協議が調うまで何の手続きも進められないとすると、せっかく申し出をいただいた方が、協議の成立までに死亡したり認知症を患ったりすることで、遺産分割協議の成立そのものに支障が生じることも考えられます。また、気持ちの変化が生ずることも想定できます。

そこでこのような場合には、「相続分譲渡」という方法をお勧めします。相続分譲渡とは、自分の相続分を包括的に他人に譲渡する方法のことで、譲り受けた方は譲り渡した方の相続分を主張して、遺産分割協議に加わることができます。ご質問のように相続人の一人が譲受人となる場合、譲受人は自身の相続分と譲渡人の相続分の双方を主張することができるわけです。

もちろん、相続人以外の第三者にも相続分を譲渡することは可能ですので、この場合、相続人ではない方が遺産分割協議に加わることも想定されるわけです。

ご質問のケースでも、弟さんから「相続分譲渡証明書」に署名と実印の押印をしてもらい、印鑑証明書一通を受領しておけば、弟さんとの関係では相続手続きが完了するわけです。弟さんの場合は無償譲渡となりますが、有償での譲渡を希望される方には、署名押印、印鑑証明書一通の受領と引き換えに譲渡代金をお支払いいただくとよいでしょう。