母は認知症で、家族の名前すら思い出せない状態です。このため、父の遺産分割協議ができません・・・
本人を支援する成年後見人等を選任してもらう必要があります。
認知症などで判断能力が低下している方は、遺産分割協議等の法律行為を単独で行うことができなかったり、どなたかの支援が必要だったりします。
そのような場合は、家庭裁判所で、その方の法律行為を代理するなどして本人を支援する成年後見人等を選任してもらう必要があります。成年後見制度には、成年 後見、保佐、補助の三類型があり、ご本人の判断能力の程度に応じて最も適切な制度を利用することが可能です(成年後見制度については【参考:相続人の一人が認知症】)。 成年後見人等は、ご本人の権利や財産を守るために執務を行わなければなりません。したがって、未成年者の場合の特別代理人【参考:相続人の一人が未成年者】と同様、遺産分割協議にあたっては、最低でもご本人の法定相続分を確保するようにしなければなりません 。
なお、成年後見人等も相続人の一人である場合は、ご本人の立場と自らの立場の双方で遺産分割協議を行うこととなると、お互いの利益が相反し、ご本人の利益が護られないおそれがあります。
このような場合、成年後見監督人等が選任されていれば監督人が、選任されてい ない場合には未成年者の場合と同じく家庭裁判所が選任した特別代理人が、ご本人の代わりに遺産分割協議を行うことになるのです。