妻が交通事故で急死しました。大学と高校に通う二人の未成年者がいます。妻の残した預金を学費に充てたいのですが・・・
未成年者の場合は注意が必要です。
大変にお気の毒でした。残された二人のお子さんの学業に影響が出ないよう、円滑な相続手続きを進めたいところですが、お二人が未成年者とのことですので、次のような手続きが必要です。
預金の解約・払戻しを受けるには、遺産分割協議書を金融機関に提出する必要があります。遺産分割協議は相続人全員による合意によって成立しますが、民法では未成年者の法律行為が制限されているため、どなたかが未成年者の代わりに協議に加わらなければなりません。
通常、未成年者に代わって法律行為を行うのは親権者であるご質問者となりますが、今回の場合、ご質問者は遺産分割協議の当事者のお一人ですので、他の当事 者である未成年者の立場を兼ねることは法律で禁止されているのです(「利益相反行為」と呼ばれます)。 そこで、親権者に代わって未成年者の立場で遺産分割協議に加わる「特別代理人」を、家庭裁判所で選任してもらわなければなりません・未成年者がお二人とのことですから、特別代理人も二人必要です。
なお、特別代理人は必ずしも法律の専門家である必要はありませんので、未成年者の祖父母などの親族にお願いすることも可能です。 ところで、特別代理人は未成年者の利益を考えて遺産分割協議を行わなければなりません。選任申立てに際しては分割協議の案文を家庭裁判所に提出しますが、未成年者に何も相続させない分割案や、法定相続分を大きく割り込む分割案の場合、家庭裁判所から協議案の再考を命じられることもあります。
しかし本件では、預金をご質問者が管理してお二人の学費に充てたいとのことですから、その事情を詳細に報告することにより、すべてをご質問者が相続する協議案が認められる余地もあるでしょう。