私は、妻子ある男性との間に子をもうけました。この子の相続権について、新しい裁判所の判断が出たと聞きましたが・・・
嫡出子と嫡出でない子の相続分は等しいものとなりました。
最高裁が平成二五年九月四日に下した判断のことですね。最高裁は「嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする」という民法の規定は、憲法に違反し無効と判断しました。
なお、「嫡出子」とは婚姻している男女の間に産まれた子、「嫡出でない子」とは、婚姻関係にない男女の間に産まれた子を指します。
この判断を受け、憲法違反とされた前記の民法の規定が削除され、平成二五年九月五日以降に開始した相続に関しては、嫡出子と嫡出でない子の相続分は等しいものとなりました。
あなたのお子さんの場合、父親である男性は今もご健在ですから、将来その男性がお亡くなりになった場合、あなたのお子さんは嫡出子である他の子らと同じ相続分を有することになります。
ところで、嫡出でない子として相続権を主張するためには、父親から認知されていなければならない点にご注意ください。認知の手続きは、父親から市区町村役場に所定の届出をするだけで足りますが、認知の事実は戸籍に記載されるため、戸籍を通じて嫡出でない子の存在をご家族に知られてしまう可能性があります。そこで民法は、遺言による認知も認めています。この方法であれば、少なくとも父親の生前に嫡出でない子の存在を知られるおそれは低くなります。
なお、父親が認知をしないまま死亡した場合、死亡から三年以内であれば、嫡出でない子から認知の訴えを提起することも認められています。しかし、裁判により認知が認められるまでの間に他の相続人による遺産分割協議等の遺産の処分が終了している場合、ご自身の相続分に相当する金銭の支払い請求しかできず、不動産等の特定の財産を相続したいという希望はかなえられませんので、ご注意ください。