私は妻の両親と養子縁組をしています。今般、実の父が亡くなりましたが、相続手続きはどうなりますか?

まずは戸籍を確認しましょう。

実のお父様がお亡くなりになられたのですね。ご愁傷様でした。あなたとしては、奥さんと結婚した後に奥さんのご両親とした養子縁組が、実親の相続手続きに影響するのかという疑問をお持ちなのですね。

まず、戸籍のことを確認しましょう。戸籍法六条は「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する」と定めています。したがって、あなたが実親の戸籍から抜けて新たに戸籍が編製されたのは、奥さんとの婚姻によるのであって、これにより親子関係が法律上消滅することはありません。

また、婚姻よりも前に養子縁組した場合、養子は実親の戸籍を抜けて養親の戸籍に入りますが、この場合でも、実親との親子関係が法律上消滅するわけではありません。

一方で、民法八○九条は「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と定めていますので、あなたと奥さんのご両親との間にも、親子関係は生じています。

結局のところ、あなたは、実親の相続人にもなるし、養親の相続人にもなるということになるのです。

ただし、あなたのような普通養子縁組ではなく「特別養子縁組」の場合には、養子と実親との親族関係は終了します。特別養子縁組は、実親による虐待や養育の放棄などの理由により、子の監護が著しく困難であったり不適当であったりするような特別の事情があり、子の利益のために特に必要があると認められる場合などの法律が定める要件を充足するときに、家庭裁判所が許可する養子縁組のことです。